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香水の歴史

ロジャ・ダブ  
新間 美也 監修
A5判・全ページカラー・280頁
本体価格3800円(税別)
ISBN 978-4-562-04548-8

フォトグラフィー 香水の歴史

The Essence of Perfume
Roja Dove


現在に受け継がれる名香は、
19世紀末に誕生し、
モードを映す鏡のように、
数々の逸話を生み出した。

 19世紀末から21世紀までの優れた香水を、
 その時代背景とともに解説する希有な一冊。
 時代の先端を走るブランドごとにも解説。
 美しい写真によって、発売の時代を彷彿とさせる
 宣伝ポスターや、秀逸な工芸品でもある香水瓶を多数収録。
 ゲラン社で香水を学び、「香水学の教授」とまで謳われた 
 著者ならではの豊富な知識が
 わかりやすく紹介されている、香りの必携書。


[目次]
1章・素晴らしきかな、
   においの世界
2章・近代香水の誕生
3章・抽出法
4章・原料
5章・調香師と香水の基礎
6章・伝説の名香
7章・名香を生んだブランド
8章・香水瓶の意匠(デザイン)
9章 次の世代へ
     
[本文]
はじめにより
目は心の窓だというが、わたし流にいえば単なる観察する窓にすぎず、地上の生き生きとした息吹を思いきり吸い込めるのは「鼻」である。文明の創世いらい、芳香は人間とともに歩み、香りの進化は、文化の複雑で微妙な転変とともにあったといえよう。香りに手を触れることはできないが、心の琴線に触れ、感覚を突き動かし、感動を与えてくれる。人は香りを得て誘惑者となり、いつしか記憶と官能が混じり合い、至福の境地へと誘われる。
 
 私たちの着飾る服とも身体とも違って、香水は年齢や肌の色や身分を問わない。年齢を重ねれば、身体はいやおうなく老化してくし、肌の衰えはどうあがいても隠せない。お気に入りの服も、いつかは綻びてくる。でも香りは裏切らない。真の友のように、いつもあなたの味方だ。
 誰かに寄り添い、その人の匂いを胸いっぱいに吸い込む。その匂いはあなたの記憶に溶け込み、けっして褪せることなき美しい記憶となる。何年も会わずにいた人でも、その匂いをかげば洪水のように記憶がよみがえり、忘れていた夢と愛が戻ってくる。
 
 ゲランで働いていたころ、私は1929年の名作「リウ」の復刻を担当したことがある。わずか300本の限定復刻版である。運よくその1本を手に入れたご婦人(東欧系の方だった)は、ひとこと「リウ」とつぶやいて目を閉じた。聞けばその昔、もらったばかりの「リウ」を結婚初夜につけようとしたとき、ボトルは震える彼女の指から滑り落ち、貴重な香水はじゅうたんに吸い込まれてしまった。以来50年、復刻版の「リウ」をスプレーした途端に、すべての記憶がよみがえったという。あのときの部屋のインテリアも、あのときの気温も。香りが記憶の扉を開き、素敵な思い出が彼女を包んだのである。

[著者紹介]
ロジャ・ダブ
ゲラン社にて教育広報部で働きながら、「香水学教授」の肩書きを与えられ、「グローバル大使」に任じられる。現在は、調香師としてROJA PARFUMSブランドで、妥協のない香水を展開している。